木の家を楽しむ人からの手紙

木の家を楽しむ人からの手紙

家 + 人(生活) = わが家

家は、そこに住む人が生活して
初めて「わが家」になります。

木の家を選んだ理由、住み心地のお話など、
ちょっと聞いてみませんか。

木の家を楽しむ人 木の家を楽しむ人

  1. 五感で実感する暮らし
  2. ふるさとの木の家
  3. 子どもたちがほめる家
  4. 周辺環境に合った呼吸する家
  5. 安心感のある木造クリニック

第五回:安心感のある木造クリニック

患者さんの立場を考えた、安心感のあるクリニック

※『坂東ハートクリニック』にて、お施主さんである坂東院長さんと設計を担当した佐藤幸好さんに、対談形式でお話を伺いました。

なお、「木の家をつくる人からの手紙 図面をひく人(建築士) 4」では同じ内容を掲載しています。

もくさん坂東 僕が日赤病院に勤めている頃、病院の建て替え計画があったんです。ですから学会で県外出張するときはその地域の有名な病院を見学したりして、改善するにはこんなのがいい、あんなほうがいい、と、ずっと考えてきた。その後、自分が開業することになって、そのアイデアを全部出せたのが、このクリニックなんです。

佐藤 最初は、妙なリクエストがいっぱいあって、正直、驚きましたね。

坂東 まあ、“妙”ではなかったと思うけど(笑)。

佐藤 いや、それまでの病院建築の常識とは違う部分がかなりあった、という意味ですが。ですからすごい回数の打合せをしましたねえ。メールでも相当やり取りしましたし。

当時、先生はまだ病院に勤務されていて、打合せは自宅に帰られてからなんですが、心臓手術では凄腕の先生なので、夜の9時や10時に緊急手術が入って、そのまま朝までかかったり‥‥。そういう先生の大変さ、仕事に対する誠実さを知って、私自身建築家として、先生の気持ちを受け止めて、きちっと応えなきゃいかん、と思いましたね。

ただ、「100%応えることは難しいですよ」と、先生には最初に言いました。どんな住宅でも建物でも、100%期待通りということはあり得ない。建てたあと、住まいながら、使いながら、完成されてくる。特に先生の場合は、建ってからもいろんな改良や工夫をしながらどんどん変えていくだろうから、我々が100%作ってしまいすぎると、違った問題が逆にいろいろ出てくるような気がしたんです。だから、私には8割程度のお手伝いしかできない、ただしその8割については、私の技術力でそれをとことん実現しよう‥‥そう思って関わった仕事でしたね。

もくさん坂東 でも、出来上がったときは自分が思った通りのものでしたよ。あとは仕事量が変わってくるから、もう一部屋か二部屋欲しかった、というのはありますが。構造や狙いは、思った通りです。

手術はチームでやるものですから、開業医では手術はできない。だから、ここには手術室はないんです。病院勤めだったとき、緊急手術で来る患者さんをたくさん診てきて、「なんでこんな治療しか受けてないの?」ということがよくありました。緊急手術で一生懸命助けるよりも、緊急手術にならないようにするほうが実は非常に大事で、ここはそのための施設なんですね。

僕は携帯電話をオープンにしていて、日曜祭日も、夜の10時までは患者さんの電話を受けるんですけど、ある患者さんがそれを知らなくて、具合が悪くなった日曜日、休診だと知ってはいたけどここに来たらしい。で、「駐車場でしばらくいたら気持ちがラクになって、治りました」って。それを聞いたときは、来ただけで安心してもらえたのかと思うと、嬉しかったですね。看護師も、「先生、ここ、まるで寺院ですね」って(笑)。それは我々に対する信頼感もあると思うけど、この建物全体の安心感も大きいですね。これだけ木をふんだんに使った開業施設は、なかなかないと思います。

佐藤 僕は鳴門の「あいあい診療所」さんの仕事で、初めて木造のクリニックを手がけたんですが、坂東先生はそこにも見学に行かれたそうで、それがこの仕事のスタートラインですね。

坂東 手術をする施設を作る場合、消毒の関係で木造は無理なんです。でも手術はしないから、木造で作ろうと、最初から考えていました。ここの土地は300坪で、平屋で建坪が100坪。100坪もある開業医ってなかなかないんだけど、自分の仕事に必要なスペースを考えて、そこに僕が考える“クリニックの機能”を付け加えたら、どんどん大きくなって。(笑)

大きな病院の場合、窓があっても外が見えなかったり、エアコンで空調管理されているところが多いですが、ここは本当に自然に恵まれたところで、窓の外の風景が田んぼでしょ。田植えの時期から青葉が伸びる時期、稲穂が実って、稲刈りの時期‥‥ずっと変わります。待っている間も非常に気持ちいいんですよ。居眠りする人もいるくらい。これは、佐藤さんが、待合室にはこの場所の借景をしたほうがいいと、提案してくれたんです。

もくさん佐藤 この待合室は、建物の西北に当たるんです。西日が入るし、普通はこんな場所を待合室にするなんてあり得ない。待合室としては南東の角が一番良い、というのが常識です。でも、ここの環境を見せていただいたとき、風景を見て過ごしてもらおうと考えた。だから椅子も全部窓側を向けています。普通は受付のほうを向いていますが、ここは反対で、来た人と顔を合わさなくていい。僕はテレビが嫌いだから、普通の病院にあるようなテレビも置かずに、BGMを聞きながら四季折々の景色を楽しんでもらおうと。

坂東 5月くらいからは窓を開けて、デッキに椅子を出しておくと、そこに座る人もいますね。普通の病院の待合室は三人掛けの椅子が多いですが、ここの椅子は形や高さが全部違います。患者さんの体型もさまざまなわけだから、自分の座りやすい椅子に座ってもらおうと考えたんです。いろいろ座ってみて、自分の指定席を見つけている人もいますね。

壁側には琉球畳を敷いた座敷も作りました。おじいちゃん、おばあちゃんの中には、待っている間、横になりたい人もいるわけです。実際、この畳のコーナーから席が埋まっていきます。上がりこんで正座したりね。あ、でも、椅子に正座するお年寄りもおられますけどね(笑)。

こういう発想は、全部患者さんとの会話から得ています。23年間の病院勤めの間に、「肘掛がなくて深い椅子は起き上がるだけでも大変だ」とか、いろいろ聞いていた。それならこういうのがいいと、自分の中に温めていたアイデアのひとつです。

佐藤 一番最初に先生から、A4で何枚もの資料をいただいたんです。設計に対する要望もあったけど、メインは医療に対する考え方でしたね。その後、設計を進める中で、僕らが診療所の仕事でやってきたこととはかけ離れたことが出てきて、「なぜかな?」と思ったときにまず立ち返るのは、患者さん。先生はいつも患者さんの立場で考えている。「こうしたほうが患者さんが便利でしょ?」と。ここで仕事する先生や看護士さんたちの便利も大切だけど、診療所で本来一番に考えなければいけないのは患者さんだというのが、先生と話をしながらだんだんはっきりしてきて、プランニングも含めてかなり変わりましたね。この待合室の椅子なんかも、当初私にはこんなイメージは全然なかった。そういう意味でも、私自身がとても勉強させてもらった仕事です。

もくさん坂東 クリニックを木造で作るうえで、フィトンチッド(植物が発散する、殺菌力や癒し効果を持つ化学物質)のことだとか、木造にすることの効果を深く考えたというのではなかったんです。僕の医療人生の後半を使う場所として、木造が好きだから、木造にしたい、というだけで。でも、毎回来るのが楽しみだと言ってくれる患者さんも多いですね。

佐藤 季節によって待合室のディスプレイも変えておられるんですよ。おひな様の時期にはひな壇があったり、阿波踊り時期にはちょうちんがあったり。

坂東 僕には「人生は限られている」という意識があって、40代からは「折り返している」という意識が強いんです。だから残っている時間を、患者さんと一緒に、より良く使いたい。ここで風景を見たり、四季折々のディスプレイを見ることで、季節が流れていることが患者さんにも伝わる。ああまたこの季節が来た、私にも人生そんなに残ってないかも知れない、だったらカラダを大事にするために、こうしておこうよ‥‥そういうメッセージが、ここにはあるんです。

食事相談の部屋も、機能優先の調理室みたいにしてしまうと、怒られているみたいで面白くないから、ちょっと割烹風にして、楽しみながら食事を勉強できるようにしました。食事をきちんと調整すれば、高血圧の薬を飲まなくてもよくなって、「これでクリニックは卒業です。もう来なくていいですよ」という人も出てくる。それを学会で発表したら、「先生のやり方では病院の収入が減るのでは?」と聞かれたりする。でも、患者さんにはそちらのほうが良いでしょう。経営はもちろん大事だけど、治る患者さんを無理にリピーターにしてお金を取るというのは本末転倒ですからね。

僕はカルテも全部患者さんにコピーを渡して、僕が対応できない緊急のときは、それを持って救急病院に行きなさいと言ってあります。まあ、普通そんなことする病院はありませんね。だいたいカルテ開示でモメますから。でも僕は、検査データも所見も、電子カルテでキレイに読めるようにして渡します。ミスして失敗したら、それは認めて謝るしかない。情報開示して、患者さんがその先生にかかるかどうか決める。そうやってオープンにしたら、何も怖いことはないんですよね。

佐藤 そういう、先生の医療に対する考え方を最初にいろいろ資料で渡されて、それがハードに結びついたところもあるけど、ソフトの面で、私自身のそれまでの診療所のイメージ、考え方を変えることになったのが大きかったし、時間もかかりましたね。

坂東 そういう意味では、僕はものすごく面倒なクライアントであったと思います(笑)。

佐藤 いや、もちろんものすごくこだわられていたけど、何にこだわっているのかというのが重要でね。意匠(デザイン)に凝って、人目を引くカッコイイ建築物を作ってくださいという注文ならそれに応えることもできるけど、先生の場合はそうじゃない。医療というものをきちっと捉えながら、患者さんの立場にある診療所を作る。その場合、構造的なこと、材料の評価などはもう別のことになってきますよね。患者さんと日々対峙されている先生が納得しなければ前に進めないということを、私自身も良く分かった。そのために時間はたくさん使いましたが、面倒だったとは決して思わないですね。長かったようで、終わってしまえば早かった、というのが私の印象です。

もくさん坂東 一口に「木造」と言ってもいろいろありますが、合板を使うなんて想像もしていませんでした。その分、「費用は上がりますよ」とは言われましたが(笑)、どこにも合板は使わずに、全部杉板で作ってもらいました。格子とか畳、障子、そういう和風のものが非常に日本人の安心感を呼び起こして、穏やかな気持ちにさせてくれるようで、木造にして正解だったと思っています。

佐藤 材料選びの段階では、木の質感や色、効用も含めて、相当議論しましたね。私はやるなら徹底して、杉だったら杉でやろうと。だからトイレの中も杉板です。“徳島すぎ”、上勝の「もくさん」の材料です。私は「もくさん」とはお付き合いが長いんですが、当時「もくさん」がパネル工法と言って、先に工場で杉板のパネルを作ってそれを建築現場に持って行き、工期を短縮するというやり方で住宅を手がけ始めていました。その実際のものも先生に見ていただきながら、こういう方法でやりたいと説明して、先生の納得が得られたので、この方法でやりました。

坂東 最初は、僕は床には体育館みたいな、硬い木がいいんじゃないかと思ったんです。桜の木でしょうか。だけど杉のほうが良いですよと言われて、そのときはかなり押し合いへし合いしましたね(笑)。で、実際に床を杉板で施工している喫茶店を見に行ったり。

佐藤 杉は柔らかいので、特に床に使うとキズが付きやすいという欠点もあります。ここも建ってから7年過ぎているのに、この程度のキズしか見えないのは、塗料を塗ったり、ちゃんとメンテナンスしてもらっているからなんです。でもその柔らかいという杉の特性は、足に優しいし、人の感覚に近い。硬い材料はいくらでも他にありますが、先生のコンセプトからすると、やはり柔らかい材料のほうがふさわしいと思ったんです。

坂東 以前、韓国に行って歩いてたら、どうもひざが痛い。どうしたのかなあと思ったら、そうだ、全然床の硬さが違うんだ、と。街の道も家の床も、石が多いんです。足元が硬いと、関節に来ますね。このクリニックでは床が全部木なので、最初に来たとき、玄関で靴を脱ぐ人もいますよ。

佐藤 ここまで全面を木の床にしてるのに、土足で上がるという施設は、意外に少ないです。この床板は、4センチの厚みがあります。室内なので傷が付いても表面だけですから、研磨すれば十分キレイになる。薄い貼り物(合板)だったら削ってしまったら終わりですが、研磨で元に戻るところが木材の良さですね。壁面のパネルは厚さ3センチの杉板で、中には標準的な断熱材を入れています。窓もペアガラスを使って、機密性、断熱性を高める工夫をしています。

坂東 冬は暖房、夏は冷房もしますけど、間の季節は窓を開けています。すーっと風が流れてきますよ。これが気持ちいいんです。

佐藤 住宅建築にしても、あまりにも機械設備に頼りすぎていた頃から、いまは少し考え方が変わってきているように思います。経済的とかエコポイントなどとはまた別に、昔からあった、自然の風を通すなどの工夫で、住まいはそこで暮らす人にとって、より快適になるはずだ、と。この診療所も患者さんのために、住まい感覚に近い設計をやっていったらいいのかな、という思いはありました。RC(鉄筋コンクリート)の環境の中では難しいですけど、木造だったらそれが可能ですからね。

坂東 「さあ、病院に来たぞ!」というような緊張する建物よりは、住まいのような、気持ちが落ち着けるリラックスできる建物のほうが、そりゃあ良いですよね。レントゲン室に障子を置いたのも、ああやって目に見えるカタチで安心できるものがあるのが良いと思ったんです。

もくさん佐藤 やはり木の良さを本当に分かっていただくには、先生が建てる前にあちこち見に行かれたように、事前に体験することがものすごく重要なんです。杉材って、意外と好き嫌いがあるんですよ。というのは、仕上がったばかりの状態の杉材は、赤身と白い部分が極端に分かれて目立っている。実際、これまでに手がけた住宅の仕事でも、引き渡しのときに「汚い、こんなんイヤじゃ」という反応もありました。建物が出来たときが完成品だと考えると、木目をプリントしたような、人工的に作られた均一性のある素材と比較してしまって、本当の木造のほうは美しくないと感じてしまうのかも知れません。そういう意味では木造は、不思議なくらいに完成品じゃないんです。

それが、使っていくうちに全体があめ色に黄変してきて、存在感も出てくる。建物が成長して、だんだん完成に近づいていく。建物の中で住まう人、仕事する人、そこに来る人も含めて、より自分になじんでくるのが、杉、もしくは木材の良さなんです。それを事前に体験して、触っておいていただかなければ、2、3年後には完成に近づくんだと、いくら理屈で分かっていても、感性の部分でギャップがあります。そのヘンをきちっと見ておいていただくのが、すごく大切なんです。

坂東 僕は汚らしいとは思わなかったけど、新しいときに、ちょっと痛々しい感じはしましたね。木が伐られて、そのままポンと来てるような、“伐りたて”みたいな感じで、木がかわいそうだなという感じはしました。

佐藤 これほど理解していただいている先生でも痛々しさを感じるくらい、「伐りたて!」って感じなんですよ、最初は。原木から製材して、引きたての状態の材木を使っているわけですから。それが7年経って、いまでは黄変して全体になじんでいる。均一な色合いになって木目だけがきれいに見えている。そういう経年変化を、ぜひ住まいながら、使いながら、楽しんでいただきたいですね。


坂東さんが依頼したのは・・・

もくさん
(株)もくさん

徳島県上勝町の豊かな森林資源を守りながら、地域の活性化を推進する第3セクター方式による株式会社です。

「地球環境の保全」をテーマに、森林の管理・育成から、 住宅の設計・施工までを総合的に取り組んでいます。

→(株)もくさんサイトへ(外部サイト)

第四回:周辺環境に合った呼吸する家

周辺の環境にマッチした、呼吸する家になりました

和室

※ペットの小型犬2匹とご長男と暮らす、板野町のお家に伺って、お話をお聞きしました。

家を建てるのは、私はこれで三軒目なんです。ずっと木造ばかり建てていますね。こちらに移る前は藍住に20年間住んでたんですが、銀行を退職し、新しい会社に再就職するというタイミングで、この三軒目を考えました。両親がある程度介護が必要な年齢になっていたこともあって、近い距離に住んで食事のフォローなどができるかと思い、同じ敷地内に建てることになったんですが、玄関も別だし、まったく別の所帯です。もとは母屋の倉庫が建ってた場所だったので、その既存のコンクリートの基礎を活用しました。

何軒建てても、ベテランになるということはなくて、土地の場所や形やさまざまな条件が違いますから、なかなか100%満足できることはないですね。でも、ここは裏手に山があるし、タイル調の洋風な家なんかは、ちょっと似合わないでしょう。やはり周辺の環境や自然とマッチした家のほうが違和感がないと思って、この家は焼き杉のシックな外観でいこうと考えました。ただ、このあたりの地域はもともと農地なので、市街地とは、許可申請の基準が少し違うかも知れませんが。

ケヤキの大黒柱自然素材はできるだけ使おうと、最初から思っていました。ケヤキの大黒柱は、実は昔から持っていたものなんですよ。裏の土手に生えていたのを伐ったものの、使い道もなく、家の車庫に20年くらいほったらかしにしてあったものです。結果的に、長期乾燥したことになりました。5.5寸で3mという立派なもので、もう一本あったら門柱に使えたんですが、一本しか取れなかったので柱にしました。買えば何十万円かはするでしょうね。和室の柱は吉野のヒノキを使っています。これは、うちの父の生まれが吉野なので、そのこだわりなんです。家のいろんな細部に、そういう家族の個人的な歴史やストーリーから生まれたこだわりがあるのって、いいと思うんですよ。ヒノキの柱と言っても、上っ面だけキレイな貼りものをしているものもありますが、これはホンモノの、完璧な吉野のヒノキです。

息子さんのクローゼット

他の部分の木は、杉材中心に県産材を使いました。壁には腰板を使って、その上部の壁は珪藻土。ビニールクロスを使うのは最小限にしています。トイレの天井も杉なんですよ。これは家を建ててもらったスーパーウディシステム(以下、SWS)さんのこだわりで、要らないと言ってもついてくる(笑)。それには理由があって、やはり匂いが全然違うんですね。同じ理由で、戸棚の中も、押入れの中も、天井と壁面に杉を使ってます。これだけで、普通の新建材を使うのと比べたら3倍くらい値段が違ってくるんですが、それでもあえて杉板にするのは、匂いや湿気を調整してくれるから。理由がちゃんとあるわけです。二階に息子の部屋があるんですが、最初はクローゼットにもちゃんと扉があったのに、その中の天井や壁の木の香りが良いからと、彼は扉を取り払ってしまいました。扉もけっこう高かったんですけどね(笑)。いまは扉がないので中は丸見えですが、息子は自分の主張、自分のセンスで、それも部屋のデザインとして楽しんでいるようです。

小型犬の居場所特別なことと言えば、ウチはペットの犬と一緒に暮らすことが前提で、最初から室内で飼うつもりだったので、キズ防止のために樹脂フローリングを使用しています。階段下のスペースも、もともと設計の最初から犬のためのスペースと考えて、犬用にライトもつけたし、ケージの幅ともちゃんと合わせてあります。その他は特に変わったところはなくて、ごく一般的なものばかりです。最終的には坪単価50万円程度という予算のこともあるので、あれもこれもとこだわったらキリがない。どこで落ち着かせるかのバランスが大事だと思うんです。特注の窓をオーダーするとか、キッチンに数百万かけるとか、お風呂を石貼りにするとか、そういうのは一切ありません。お風呂もごく一般的なユニットバスです。でも、それも逆にこだわりなんですね。

家は何十年と住むものですから、長いスパンで考えたら、ごく普通の一般的な、値ごろ感のあるものを使ったほうが、あとのメンテナンスが便利なんです。実は昔建てた家で、外国の特殊な照明を使ったことがあるんですが、電球自体が近くの電気屋さんに売ってないものだったんです。イタリア製、フランス製もいいですけど、何か壊れたとき、足りないときに、近くで部品が手に入らないというのでは、急ぐときに間に合わないですからね。細部にこだわる気持ちも分かりますが、長く住むことを考えたら、やはりメンテナンスのことは大切だと考えています。
そういう意味では、専門誌などにもいろいろこだわった家が紹介されてるけど、私なんかから見たら、果たしてそれでいいのかな、と思うこともあります。家は一年や二年住んでみてどうこう‥‥ではなしに、10年サイクルで、水周りとかにアフターフォローが必要になってくる。長く使ってよかったかどうか。そのあたりのことで、一般的な家電、売れ筋のものを使うというのが、私のこだわりですね。

畳があると落ち着く今回はSWSの杉本文明先生(「図面を引く人」に登場)に設計をお願いしましたが、土地の形が限られているし、突拍子もない間取りは考えられないから、LDKと和室がひとつ、洋室は最低三つは要る、納戸は二つ‥‥そういう条件にかなう家、ということでお願いしました。長女はもう独立して家を出ていますし、いまは長男が同居していますが、将来的にはこの家も、息子にバトンタッチしていこうかと考えています。

在来工法が主体だから、その延長線上ではあるんですが、やっぱり畳の部屋があると落ち着きますね。一種独特の畳の香りや手触り、そんなものも、我々の年代になったら必要ですねえ。生まれたときからマンション暮らしで、畳の環境で育ってないいまの若い人は、感覚的に合わないかも知れませんけど。また、柱を見せないで、クロス貼りや石膏ボードで壁を覆ってしまう家も多いし、極端に言えば、和室でも柱を見せないような家もいまはありますが、それではせっかくの和室の良さも死んでしまう。やっぱり、柱が見えるような家にはあこがれていました。この和室の上がり口も、コスト的には多少は上がりますけど、これだけ上がっていることで、ここに腰掛けることもできるし、掘りゴタツも作れるし、デメリットのように思えて、メリットが多いですね。

ご家族木の家というのは呼吸していると言われますね。でも、ただ柱や構造材に木を使っただけではそうはならない。この家も、外観や躯体だけじゃなく、ビニールクロスや集成材を貼らずに杉板を貼ることで、家全体の木が全部、空気の流れを作る、家全体が呼吸するようになっているんです。木造の家を作る際の昔からの知恵で、外壁の焼き杉には防虫効果があって虫もつかないし、外の汚れた空気も炭に浄化されて入ってくる。昔はその内側に土壁があったから、焼き板の炭素で浄化して、土壁の中に入って、それから家の中に空気が入るというふうに、全部がフィルターみたいになってたんですね。この空気の流れを、クロスを貼ったり集成材を貼ったりしたら、その接着剤で遮断してしまって、呼吸する家でなくなってしまう。だから押入れの中にも、あえて杉板を貼っているんです。まあ、理屈はともあれ、建ててからもうすぐ二年になろうとしていますが、家の中にペットの匂いがこもることもなく、木の香りの空気の中で暮らしていられるのは、嬉しいですね。


このご家族が依頼したのは・・・

外観

(協)スーパーウッディシステム

「徳島の気候風土に適した家をつくりたい。」「体にやさしい木をふんだんに使って低価格な家をつくりたい。」
お客様のニーズをしっかりと受けとめて、これからも木の温もりに包まれた「本物の家」を提案してまいります。

→(協)スーパーウッディシステムサイトへ(外部サイト)

第三回:子どもたちがほめる家

子どもたちが、びっくりするほど家をほめるんです

※ご夫妻と三人のお子さまが暮らすつくば市内のお家に伺って、お話をお聞きしました。

リビングダイニングご主人 この家を建てるときは、いろんな方のお宅を拝見しました。いまはネットがあるので、建てた人同士のつながりも作りやすいんです。建てた人自身から話を聞くと、雑誌や本には載ってない、実際のことがいっぱい出てきます。もちろん、ものの見方はいろいろで、ひとつのことについてもいろんな意見がある。そのどれが良いとか悪いじゃなく、自分がどれを選ぶかですよね。建てた家にマイナス点があっても、自分が選んだと思えば納得できますから。

奥さま 主人はネットで調べるのもすごいですけど、自分でもすごく調べてます。「この家は実験棟だ」と言って、家の中に温度計もたくさん置いて、数値をメモしてますし。彼は理系なんですけど、理系だけあって「数値が大事だ」と言って、建ててから毎年の光熱費をチェックして、家の状態変化を記録している。記録魔ですね。(笑)

温湿度計ご主人 家を建てると、「失敗した」とか、「こうしておけばよかった」というところが必ず何ヶ所かはあると思うんですけれど、僕はいまのところそれはない。空気感、質感、性能、すべて楽しんでます。建ててからもずっと手を入れていて、まだまだ完成形ではありません。家って、ホントはそういうものだと思うんです。欧米の家は、建ったときはけっこうぞんざいな造りで、住む人が価値をつけていくわけですけど、日本でもそんな家がもっと増えればいいと思いますね。そうしないと中古住宅の市場も育たない。家は個人の持ち物ですけど、やはり社会資本のひとつなので。この家も、自分の死んだあとも、できれば誰かに使って欲しい。「100年後に残ってるといいね」、「上(天界)から見て、誰かが住んでるのが見えるといいね」なんて、よく話しています。

学習スペース奥さま 子どもたちは家中で遊んでますね。床下も全部つながってますから、回遊性があって、行き止まりがないんです。家の中にジャングルジムがあるようなものですね。子どものお友達も、この家が大好きみたいで、10人とか15人とか、どわ~っと大勢で来て、みんなで楽しんでます。ログハウスみたいなので、「旅行に行った気分」「スキーに来たみたい」なんて。

ご主人 「この家があれば別荘に行かなくてもいいね」という友人もいます。木の香りがいまでもふわ~っとするし、それがなおかつ、温熱環境のいい中で、“温度バリアフリー”の中で感じられる。「木の家だから暑さ寒さはある程度受け入れろ」というイメージがあると思うんですが、家は人を守るシェルターですから、住みやすさも大切ですよね。木を使った上で、なおかつ性能も出したかった。それに関しては、ほぼ思った結果が出ているので、満足ですね。

奥さま 子どもたちはどんどん成長していくし、子ども自身の個性もある。それに合わせてこの家自体も変更ができる、フレキシブルな作りですし、「どうしていこうか」って、夫婦で話し合えるところがいいですね。家ありきで、家族や自分を家に合わせるのじゃなく、自分たちの生活がまずあって、その生活に合わせて家を作り変えたり手を加えていくものだという、彼の考え方に学ぶところは大きいですね。

書斎ご主人 まずは木造にしようというところから始まって、ホントなら地産地消で、地元茨城の八溝杉を使いたいと、地元の工務店をずっと見てたんです。その中で、「板倉」という作り方を知って、それで建てたいと思ったものの、なかなか依頼先も難しいと思ってたところに、たまたまこの近くで「板倉の家」の見学会があって、それがつくばホームさんだったんです。

奥さま それまで、設計士の方も工務店の方も、何人かの方にお会いしたんですけど、しっくりこなくて‥‥主人にすごくこだわりがあって、自分で作った分厚い企画書を「仕様書」といって提出したりするので、どちらかといえば設計士さんが引いちゃって。(笑)

ご主人 設計料が取れないとか。(笑)中学生の頃から、家にあった建築雑誌や木の辞典に興味を持って、自分でも方眼紙に間取りを書いてみたりしてましたので、まあ、趣味ですね。

奥さま 「先生の望み通りに建てられるかどうか自信がない」とか言われてしまったりして。そんな状態に一番食いついてくださったのが、つくばホームさんだったんです。

ご主人 ビルダーさんや工務店さんだと、普通はその会社の仕様というのがあるわけですが、つくばホームさんはそういうことに囚われずに、非常に冒険してくれた。初めてのことばっかり、いっぱいやらせていただきました。だからここは実験住宅なんです。

奥さま ここは彼の一生のおもちゃなんです。あと30年くらいは遊べますね。(笑)

ご主人 まだ一階から上はほとんど手を入れてないんですが、床下とデッキはずいぶん手を入れましたね。いまは便利ですよ、通販で板が買えて、宅配便が4mの板を運んでくれる。個人で少量ずつ買って、少しずつ手を加えるということが簡単にできるわけです。

まだまだ工夫中!奥さま (注文書を見て)ああ、また板が届くんだわ・・・。(笑)

ご主人 それにしても、子どもが家のことをほめるのにはびっくりしますね。「こんな良い家をありがとう」とか、「出て行きたくない」みたいなことも言いますし。実際、冬の朝、寒くない家に慣れちゃうと、アパートで一人暮らしを始めたら大変だろうなと思います。自分が過去にそういう大変な思いをして、そうでないところに住みたくて作った家なわけですから。

奥さま 主人はいまでも新聞の折込チラシをチェックして、気になる見学会には行ってるんです。

那賀川すぎ共販(協)ご主人 世の中どんどん進歩していて、自分が建てたときには気づかなかったこともあるし、同じ工務店でも技術や考え方が違ってきますから、そういうのを見るのも面白いですね。それに、自分が人の家を山ほど見て、回りの人から教えられて家を作れたので、自分が教わったことは、人にも伝えられると思いますしね。木の家を作ろうと思ったら、家具も入ってない状態の家を見学会で見て決めるのでなく、やっぱり住んでる人の家を見て、話を聞いて、考えてからでないと、人によっては「失敗した!」になっちゃうと思うんですよ。最近は住宅メーカーの家だってヘンなものはないわけです。それでもやっぱり木の家を、というなら、多少のこだわりは必要で、自分で考えなきゃいけないんじゃないかなと思います。
あとは建築家にきちんと依頼できるかということ。設計事務所ってやっぱり敷居が高いと、一般的には思われてますよね。頭の中には「安く建てたい」ということが二番目に出てくるので、なかなか足が向きにくい。そんなことも含めて話ができるところに依頼ができるかが、とても重要です。

奥さま 家づくりって、自分たちのライフスタイルを作るわけですから、生活のことを一緒に考えてくれる人となると、やはり信頼できる工務店、信頼できる方にお願いするのが、のちのち大切になりますね。

 


 

ポリタンク

▲仕切りがなく、ぐるっと周回できる床下。
水はコンクリートの3倍、温まりにくく冷めにくいので、たくさんのポリタンクを置いてある。
こうすることで冬は暖かいという。災害の際の水の備蓄も兼ねている。

食糧の備蓄

▲食料の備蓄も万全。
地震があっても最低2週間は生き延びられる。
近所の人も助けられるよう、コンロも複数用意してある。


このご家族が依頼したのは・・・

外観

那賀川すぎ共販(協)

私たちは天然の無垢板建材「セーフティボード」や「板倉造の住宅」などを通して、人と自然環境にやさしい快適な家づくりをご提案しています。

→那賀川すぎ共販(協)サイトへ(外部サイト)

第二回:ふるさとの木の家

ふるさとの木のやさしさが伝わる家

エントランス

※2世帯・5人のご家族が暮らす吉野川市のご自宅でお話を伺いました。

奥様のお父様の山の木を使っていらっしゃるのですか。

そうなんです。柱はほとんどが父の木です。やはり、ご先祖様から大切に受け継がれた、ふるさとの木を使って建てたいという思いが強かったんですね。徳島の気候風土のことは、徳島で育った木がいちばん知っていて、それに適応する育ち方をしています。暑さ寒さにも耐えて成長してきた木の恩恵を受けられるというか、大事に育てられた木が守ってくれている感覚というか・・・木にはやさしさやぬくもりがあります。

“里の木を使う”という前提は、家づくりを進める上でブレーキになりませんでしたか。

そうですね・・・。いろんなメーカーさん・工務店さんの見学に行ったり勉強会に参加したりして相談しましたが、「父の木を使いたいんです」と言っても「メインで使うのは難しい」という主旨のお返事が大半でした。

家づくりはある程度システム化されていて、外部の木を使うには大幅にラインの修正をしないといけない、ということなのでしょうね。

そんな中で『ハウスG住宅センター』さんの[住まいづくり教室]に参加させてもらいました。“木の家を建てたい人”を対象に、家づくりの仕組みや性能・流れなどを環境面や助成金の情報なども取り入れながらわかりやすく説明してくれる教室です。

2日間かけてみっちり勉強するわけですが、「では最後に実際に自分の理想の間取りを書いてみましょう」という時間がありました。そこでご指導いただいたのが、今回設計管理をお願いした一級建築士の渡邊先生です。

男子トイレ

では、教室で書いた図面がこの家の元になっているのですか?

もちろん、何度も新たな提案をいただきましたが、基本部分はそうです。私たちが建てたいと思っていたのは2世帯住宅で、個人を大切にしながらも憩いの場をつくりたい、というものでした。昔の家のように区切りを多くして部屋数を増やしたり、バリアフリーを取り入れたり、男性専用のトイレを作りたいというこだわりも組み込んで、理想の設計をしてもらえました。間仕切りを無くした開放感のある間取りが流行だと思うのですが、流行に流されず、慣れでもなく、私たちのお話をじっくり聞いてくれた上で書いてくださる図面が本当に魅力的でした。

“里の木を使いたい”という希望も、かなえてもらえた、ということですね。

はい! 先生も、施工をお願いした『ハウスG住宅センター』さんの担当の方も、とにかく話をきいてくれるんです。「これから長いこと住む家なのだから、悪いけど今、わがまま言っておこう」と、随分と無理なお願いもしたのですが、“少し難しいこと”でも“できること”として最善の方法を考えてくださって・・・。父も、はりきっていい木を選んでくれましたし、大工さんたちもいい仕事をしてくださいました。そうそう、担当の現場監督さんのお里が同じ穴吹で、しかもご近所だったんです。縁、だなぁと思いました。この家に関わってくれた人が本当にみんないい人だったので、振り返ってみるととても楽しい家づくりでした。熱意を持って誠実に進んでいけば、いいご縁があり、いい人に巡り会えるのだな、と実感しています。

リビング・ダイニングいい信頼関係が築けていたのですね。

そう思います。父の木を使わない部分では、私たちの好みをわかってくれた上でいろいろ提案してくれたりもしました。この大黒柱も、予め選んでくださっていたのを展示会で実際に見せてもらって即決したんですよ。ほかにも、応接室の「サントリー樽ものがたり(※1)」や、ダイニングの「エコカラット(※2)」など、いい材料だな、と本当に気に入っています。

※1 長い間ウイスキー貯蔵に使った樽から生まれた、温かくて重厚な無垢のフローリング材。

※2 粘土鉱物などの微細な孔を持つ原料を焼成した“呼吸する”内装壁材。

 

樽物語

1ヵ月住んでみていかがですか?

本当に満足しています! 木も人もみんなが呼吸しているような感じ。外でいやなことがあっても、家に帰ってきたらほっと癒されて、また次の日からも頑張れるような包容力があります。寝室で横になって、屋根の傾斜そのままの木肌が見える天井を見上げるとほっとしますし、家族もそれぞれお気に入りの場所があり、新しい家を楽しんでいるようです。きっと、何十年たってもこの家でよかったと思えると、自信を持って言えます。

木という素材についてはいかがですか。

この家には、杉・桜・檜・・・などいろんな木を使っています。色や手触り、木目や節の出方など木の種類や育った環境による木の“個性”こそが、魅力です。木そのものの個性に、私たちが生活することによる変化も加わって、もっと味が出てくるんだろうなぁと思っています。たとえ、傷がついてしまったとしても、それさえもひっくるめて“私たちの家”とおおらかに許してしまいます。

最後に、これから木の家を建てる人へ、アドバイスをお願いします。

せっかく木の家を建てるのでしたら、柱や梁を見せるような、木を表に出すデザインをお願いしてみてはいかがでしょうか。見た目もそうですし、香り、手触り、あらゆる面で癒してくれると思います。そして、いい家づくりのパートナー(人)と出会って、理想とするプランの実現に向けて、後悔しないところまでとことん話し合って進めることをおすすめしたいです。やはり、家を建てるということは一生に一度の大きな買い物ですからね。長く親しく「この家があるから頑張れる」と思える家を実現させてください!

大黒柱

このご家族が依頼したのは・・・

ハウスG住宅センター(協)
ハウスG住宅センター(協)

木材生産から、製品販売、建材・住設販売、住宅・宅地販売まで、実績のある各社が協力しあう一貫システムです。

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第一回:五感で実感する暮らし

木の良さを五感で実感しながら暮らしています。

※若いご夫婦と幼い姉妹が住む徳島市内のお家に伺って、お話をお聞きしました。

家族●ご主人:もしも家を建てるなら、昔の木造校舎のような味のある家が良いと、ことあるごとに嫁さんからきかされていたんです。僕はアトピー性皮膚炎と喘息を持っていて、長女にも同じような症状が出ていた。で、いろいろ勉強するうちに、家の中の化学物質も体にあまりよくないことがわかり、外観的なことと、健康面のことが一致して、木の家にしようということになりました。

実際に住んでみて、喘息の発作が起きる回数は確実に減りましたね。あ、もちろん個人的な感想ですよ。長女の小児喘息は成長でおさまったのかも知れないけど、僕のは回数も程度も軽減しました。設計士の先生が、接着剤や化学物質をできるだけ減らす設計をして下さって、しかも木が呼吸してて空気も回る、その結果ではないかと。木の床も良いのかも知れないですね。じゅうたんには原因物質がたまるんですが、敷かないので、そもそもたまらない。香りもいいですよ。新築って接着剤くさいものですけど、この家は最初からずっと木の香りです。

本棚●奥様:この家は単純なつくりで何も凝ったことはお願いしていないのだけれど、とにかく健康のために、と徳島すぎを使ってもらったんです。

●ご主人:徳島すぎにいちばんお金をかけてます(笑)。僕たちはごくごく一般的な収入のごくごく平均的な家庭だと思うのですが、それでも木の家は建てられるんだよ、ということはぜひ書いてあげてください。

●奥様:国産材を使った家は高いと思われがちだけど、どこに重きを置くかだと思います。ウチはコストを削減するために、お風呂はユニットバスだし、トイレも一番安いクラスのだし、洗面台も既製品。食器棚も食卓も冷蔵庫も前の家から持ってきた。コタツなんかは、夫が大学生の時に使っていたものです。買い足したのって、テレビくらいなんですよ。オーダーメイドした家具は、夫の趣味の漫画本を入れる本棚だけで、これが一番高かったんじゃないかな(笑)。

●ご主人:・・・・。それはそうと、柱や梁(ハリ)がところどころ割れてるのは、最初からこうだったわけではなく、乾燥して割れてきたんですよ。一年目は、夜中にピシー!パシー!って、すごい音がしてました。

●奥様:もちろん中心までは割れていなくて、ひとつ割れ目が入ることでカタチが安定してそれ以上割れないそうです。別にそれで柱が弱くなったりしないんですって。

●ご主人:床もだんだん足ざわりがなじんでくるし、経年変化を楽しめるのはいいですね。

●奥様: 同じ家を建てても、ウチには子どもたちもいるし、家族に合った変わり方をするんでしょうね。徳島すぎは柔らかいんで、床は既に傷だらけですが、けっこう戻ってきたりするんですよ、傷のままでなく。湿度の関係もあるんでしょうね。

リビングお手入れですか? 掃除機とモップが主です。ただ時々、硬く絞った雑巾でお寺の修行みたいに拭き掃除をします。徳島すぎは水に弱いので本当は「絶対にしてはいけない!」と言われているのですが、ぴかぴかになるし、その時の木の匂いが心地いいので、ついやってしまいます。あ、本当はいけないというところ、強調してくださいね。

●ご主人:この木目(節)も、味があって好きなんだそうですよ。

●奥様:実は、節がない木材のほうが高いそうです。でも私はいろいろ見せていただいた中で、節が気にならなかったし、むしろ木の存在感が感じられる。木目って個性があって、カオに見えるとか、あれは何に見えるとか、そんな想像をするのもすごく好きですね。ほかにひとつとない、オンリーワンのデザインだし。木の家に住んでるという実感があります。

●ご主人:それから、ウチ、壁や仕切りがほとんどないのが特徴なんです。普通は障子とか壁があるところに、ない。ウチのドアって、トイレと、風呂場ぐらいなんです。開放感があります。Kちゃん(次女)は家のどこが好き?

●次女:かいだん!

階段●ご主人:こどもたちは、この階段が好きで、ヒマさえあれば昇り降りしてますねえ。家全体が、明かりを遮断しない作りなんですね。階段の間からも光が入るし、窓の開口部が大きいし。冬と夏とでは太陽の高さが違うので、冬は部屋の奥まで日差しが入り、夏はひさしでさえぎられる。だから冷暖房も、あまりつけないで済んでますね。

ピアノ●長女:私は子ども部屋でピアノを弾くのが好きです。

●奥様:ピアノは実家から持ってきました。実家の鉄筋の家の音の響き方とはやはり少し違うような気がします。家全体がオルゴールの箱みたいな役割を果たしていて優しく響いている感じでしょうか。

木の家の特徴を五感で言うと、まず耳には、音が優しい。そして、目に優しい、木目も楽しめて、汚れが目立たない。触感は、冷たすぎず、熱すぎない。冬は底冷えしないし、夏にモワっとする暑さもありません。冷暖房も効きやすいですね。

そして、香りに癒されるのか、良く眠れるようになりました。引越してきたのと次女が生まれたのがほぼ同時で、授乳のために夜中に起きるんですが、飲んだらすっと寝る。寝かしつけに困るということがありませんでした。もっともこれは次女の個性かもしれません。私自身は眠りが深くなったのか、睡眠時間が短くても、疲れが取れやすくなりました。前の家では際限なく寝てたけど、この家ではずっと寝ておきたい、ということがないんです。

あとは、トイレのにおいがこもらないとか、洗濯物が乾きやすい、という人もいるようですね。そう言われてみると、布団を敷いていてもジメっとしないし、梅雨時期もあまりじめじめしてないかも知れません。

●ご主人:新建材の家は住み始めた時がいちばんいい時だとききますが、自然素材の家は変化が味になる。それがいいのかもしれませんね。家づくりは人それぞれ、僕たちには木の家がベストな選択だったなぁと自信を持って言いたいです。

 


このご家族が依頼したのは・・・

TSウッドハウス

TSウッドハウス(協)

良質の徳島すぎを構造材として使用したTSウッドハウスの家。山と木を愛する専業林家の視点から日本の住宅を見つめます。

建築家、製材会社、大工のネットワークを使った家づくりを進めています。

→TSウッドハウス(協)サイトへ(外部サイト)