第四回:周辺環境に合った呼吸する家

周辺の環境にマッチした、呼吸する家になりました

和室

※ペットの小型犬2匹とご長男と暮らす、板野町のお家に伺って、お話をお聞きしました。

家を建てるのは、私はこれで三軒目なんです。ずっと木造ばかり建てていますね。こちらに移る前は藍住に20年間住んでたんですが、銀行を退職し、新しい会社に再就職するというタイミングで、この三軒目を考えました。両親がある程度介護が必要な年齢になっていたこともあって、近い距離に住んで食事のフォローなどができるかと思い、同じ敷地内に建てることになったんですが、玄関も別だし、まったく別の所帯です。もとは母屋の倉庫が建ってた場所だったので、その既存のコンクリートの基礎を活用しました。

何軒建てても、ベテランになるということはなくて、土地の場所や形やさまざまな条件が違いますから、なかなか100%満足できることはないですね。でも、ここは裏手に山があるし、タイル調の洋風な家なんかは、ちょっと似合わないでしょう。やはり周辺の環境や自然とマッチした家のほうが違和感がないと思って、この家は焼き杉のシックな外観でいこうと考えました。ただ、このあたりの地域はもともと農地なので、市街地とは、許可申請の基準が少し違うかも知れませんが。

ケヤキの大黒柱自然素材はできるだけ使おうと、最初から思っていました。ケヤキの大黒柱は、実は昔から持っていたものなんですよ。裏の土手に生えていたのを伐ったものの、使い道もなく、家の車庫に20年くらいほったらかしにしてあったものです。結果的に、長期乾燥したことになりました。5.5寸で3mという立派なもので、もう一本あったら門柱に使えたんですが、一本しか取れなかったので柱にしました。買えば何十万円かはするでしょうね。和室の柱は吉野のヒノキを使っています。これは、うちの父の生まれが吉野なので、そのこだわりなんです。家のいろんな細部に、そういう家族の個人的な歴史やストーリーから生まれたこだわりがあるのって、いいと思うんですよ。ヒノキの柱と言っても、上っ面だけキレイな貼りものをしているものもありますが、これはホンモノの、完璧な吉野のヒノキです。

息子さんのクローゼット

他の部分の木は、杉材中心に県産材を使いました。壁には腰板を使って、その上部の壁は珪藻土。ビニールクロスを使うのは最小限にしています。トイレの天井も杉なんですよ。これは家を建ててもらったスーパーウディシステム(以下、SWS)さんのこだわりで、要らないと言ってもついてくる(笑)。それには理由があって、やはり匂いが全然違うんですね。同じ理由で、戸棚の中も、押入れの中も、天井と壁面に杉を使ってます。これだけで、普通の新建材を使うのと比べたら3倍くらい値段が違ってくるんですが、それでもあえて杉板にするのは、匂いや湿気を調整してくれるから。理由がちゃんとあるわけです。二階に息子の部屋があるんですが、最初はクローゼットにもちゃんと扉があったのに、その中の天井や壁の木の香りが良いからと、彼は扉を取り払ってしまいました。扉もけっこう高かったんですけどね(笑)。いまは扉がないので中は丸見えですが、息子は自分の主張、自分のセンスで、それも部屋のデザインとして楽しんでいるようです。

小型犬の居場所特別なことと言えば、ウチはペットの犬と一緒に暮らすことが前提で、最初から室内で飼うつもりだったので、キズ防止のために樹脂フローリングを使用しています。階段下のスペースも、もともと設計の最初から犬のためのスペースと考えて、犬用にライトもつけたし、ケージの幅ともちゃんと合わせてあります。その他は特に変わったところはなくて、ごく一般的なものばかりです。最終的には坪単価50万円程度という予算のこともあるので、あれもこれもとこだわったらキリがない。どこで落ち着かせるかのバランスが大事だと思うんです。特注の窓をオーダーするとか、キッチンに数百万かけるとか、お風呂を石貼りにするとか、そういうのは一切ありません。お風呂もごく一般的なユニットバスです。でも、それも逆にこだわりなんですね。

家は何十年と住むものですから、長いスパンで考えたら、ごく普通の一般的な、値ごろ感のあるものを使ったほうが、あとのメンテナンスが便利なんです。実は昔建てた家で、外国の特殊な照明を使ったことがあるんですが、電球自体が近くの電気屋さんに売ってないものだったんです。イタリア製、フランス製もいいですけど、何か壊れたとき、足りないときに、近くで部品が手に入らないというのでは、急ぐときに間に合わないですからね。細部にこだわる気持ちも分かりますが、長く住むことを考えたら、やはりメンテナンスのことは大切だと考えています。
そういう意味では、専門誌などにもいろいろこだわった家が紹介されてるけど、私なんかから見たら、果たしてそれでいいのかな、と思うこともあります。家は一年や二年住んでみてどうこう‥‥ではなしに、10年サイクルで、水周りとかにアフターフォローが必要になってくる。長く使ってよかったかどうか。そのあたりのことで、一般的な家電、売れ筋のものを使うというのが、私のこだわりですね。

畳があると落ち着く今回はSWSの杉本文明先生(「図面を引く人」に登場)に設計をお願いしましたが、土地の形が限られているし、突拍子もない間取りは考えられないから、LDKと和室がひとつ、洋室は最低三つは要る、納戸は二つ‥‥そういう条件にかなう家、ということでお願いしました。長女はもう独立して家を出ていますし、いまは長男が同居していますが、将来的にはこの家も、息子にバトンタッチしていこうかと考えています。

在来工法が主体だから、その延長線上ではあるんですが、やっぱり畳の部屋があると落ち着きますね。一種独特の畳の香りや手触り、そんなものも、我々の年代になったら必要ですねえ。生まれたときからマンション暮らしで、畳の環境で育ってないいまの若い人は、感覚的に合わないかも知れませんけど。また、柱を見せないで、クロス貼りや石膏ボードで壁を覆ってしまう家も多いし、極端に言えば、和室でも柱を見せないような家もいまはありますが、それではせっかくの和室の良さも死んでしまう。やっぱり、柱が見えるような家にはあこがれていました。この和室の上がり口も、コスト的には多少は上がりますけど、これだけ上がっていることで、ここに腰掛けることもできるし、掘りゴタツも作れるし、デメリットのように思えて、メリットが多いですね。

ご家族木の家というのは呼吸していると言われますね。でも、ただ柱や構造材に木を使っただけではそうはならない。この家も、外観や躯体だけじゃなく、ビニールクロスや集成材を貼らずに杉板を貼ることで、家全体の木が全部、空気の流れを作る、家全体が呼吸するようになっているんです。木造の家を作る際の昔からの知恵で、外壁の焼き杉には防虫効果があって虫もつかないし、外の汚れた空気も炭に浄化されて入ってくる。昔はその内側に土壁があったから、焼き板の炭素で浄化して、土壁の中に入って、それから家の中に空気が入るというふうに、全部がフィルターみたいになってたんですね。この空気の流れを、クロスを貼ったり集成材を貼ったりしたら、その接着剤で遮断してしまって、呼吸する家でなくなってしまう。だから押入れの中にも、あえて杉板を貼っているんです。まあ、理屈はともあれ、建ててからもうすぐ二年になろうとしていますが、家の中にペットの匂いがこもることもなく、木の香りの空気の中で暮らしていられるのは、嬉しいですね。


このご家族が依頼したのは・・・

外観

(協)スーパーウッディシステム

「徳島の気候風土に適した家をつくりたい。」「体にやさしい木をふんだんに使って低価格な家をつくりたい。」
お客様のニーズをしっかりと受けとめて、これからも木の温もりに包まれた「本物の家」を提案してまいります。

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