製材所:平井賢治さん

(協)スーパーウッディシステム

 

有限会社 平井製材所

代表取締役 平井賢治(ひらい・けんじ)さん

profile

『平井製材所』は、大正5年創業。昭和47年法人改組で現在に至る。

林業・製材・納材業と地域材を一貫生産している。

 

 


ひと山まるごと伐採することで、履歴のはっきりした木材を作ります

(協)スーパーウッディシステム当社は大正5年創業ですから、100年近くこの地で製材をしています。旧の町名で言うと、相生から上那賀町、木頭村、木沢村といった地域が徳島県の原木の三分の一程度を調達するエリアです。このあたりで産出される「木頭杉」が、徳島すぎのブランドの先駆けですね。この流域の木材が川からいかだで流されて、羽ノ浦町、那賀川町で製材されたものが京阪神に数多く出荷されて、それが上質で好評を博して、大人気だったということです。

徳島の林業の歴史を知るには、昭和56年に編纂された「団地のあゆみ」(※1)の中に掲載されている小山四郎さん(※2)の文章が非常に興味深いんです。明治になるとき廃藩置県に伴って、各地の藩有林を国に差し出したのが国有林になったわけですけど、阿波の蜂須賀藩は民間に払い下げたので、いまでも徳島は際立って国有林が少ない、民有林が圧倒的に多いというんですね。徳島で林業が活発に行われたのも、このような背景があって、民民取引で商売がしやすかったのではないかと思われます。

※ 1=徳島県木材団地協同組合連合会創立10周年記念誌

※ 2=当時の徳島木材卸商業団地協同組合専務理事

もちろん、品質も良かった。この地域は南に海部(かいふ)の山がありますが、うねっているような山の起伏のところに、太平洋から入ってくる風が、常に水蒸気がたまっている状態を作る。さきほど紹介した小山さんも書かれてますが、世界の中で年間雨量が最も多いとされるインドのアッサム地方、そこにも匹敵するほど、このあたりは湿度も温度も高く、雨が多い。それが杉の生育に適しておったんですね。色合いや目合いが良くて、非常に大きい丸太が育つわけです。

(協)スーパーウッディシステム国産の杉でこんなに大きな梁が使えると思っていなかったとか、すべて国産材でこんな大きなサイズのものが手ごろな価格で手に入るとは思わなかった、という声は多いですね。お客さまがびっくりするようなサイズというのは、樹齢で言うと60年生から100年生、そういう木がこの地域にはまだたくさんあって、供給にまったく不安はありません。こういうところに着目して使っていただければ、そういう木材も活きますしね。

「色合い」で言えば、杉は全国どこの産地のものでもおおむねピンク色なんですが、徳島すぎは非常によどみの無い、薄い優しいピンク色で、濁っていないし、色が抜けていて美観的にもいい。それは土壌によるところが大きいと思いますね。一方、「目合い」は年輪の幅のことです。木の成長は9月ごろには止まり、3月ごろから水分をどんどん吸い上げて成長する。それで年輪ができるんですが、成長が早いとその幅が大きくなる。年輪幅の狭いものが、材質としては一般的に強度に優れているし、年輪が密に入っていることで、例えば天井板にしても、さざなみのような目がたくさん入って、独特の美しい目合いができるわけです。

製材の加工技術も高かったですね。昔は木材が、生活費や人件費に比べていまと比較にならないほど高価だったので、製品の取れ高を上げるために、薄いノコを使ってオガクズを極力出さずにそいでいく技術が求められたんですが、徳島、特に那賀川・羽ノ浦地域では、ノコの技術が卓越していたので、薄く、しかも速く、高速製材ができた。大きな需要が京阪神にありましたから、いいものを作れば高く売れるので、研究も熱心にされたんだろうと思いますが、徳島の技術は全国でもトップクラスだったと思います。

(協)スーパーウッディシステムいま私どもの会社では、素材調達するまでのこと・・・どういった山でいつ伐採されて、どのような方法で搬出されて製材工場に持ち込まれたか、ということを重要視しています。いまの日本の製材業は、ほとんどが原木市場で原木を買っているのが現状ですが、原木市場では、トラック単位の材料をチョイスして買います。しかしそれでは産地はバラバラ、品質もまちまち、山での乾燥が行われているかどうかもわからない。製材所の人間といえども、どのような山で育ったか、所有者が誰だったか、原木市場に入った段階では分からないんですね。

私どもは、原材料の素性、履歴を知ることで、できあがった製材品の品質も上がると考え、直接、山林から木を切り出しています。ひと山丸ごと、自社所有の山か、山林家の山を買い取るかすることによって、品質の良く似た木を一括で入手できるというメリットがあります。その原木を山元で葉枯らし乾燥する。これは切った丸太を、枝をつけたまま倒して、山の中に三ヶ月ほど置いておく。すると、枝葉の部分から水がどんどん上がって抜けていく。枝葉を取ってしまうと、乾燥しにくいんですよね。この工程を経ることで、より乾燥した状態で製材でき、ひいてはその製材品も色が良く、虫の害も少ないということになります。

(協)スーパーウッディシステム最近は「木頭杉で家を建てたい」というような方もおられます。私どもは「木頭杉」とか「相生杉」という、いわばブランドを取り扱っているので、ひと山丸ごと伐採すれば、それがどこの産地のものなのか、きっちり約束できるわけです。また、木材にも地産地消が言われ初めて、他県の方に、「なんで地元の製材品を使わないんだ」と言われたときに、ただ原木の品質がいいとか製材品の品質がいいというだけではなく、他の地域にはまったくないスタイル、山単位で木を購入して、一軒丸ごと同じ山で育った兄弟のような木で建てますから、色目が似ていて美しい、ということも説明できる。それが付加価値になるわけです。

業界の内部では、材料そのものの品質や年輪という話に偏りがちなんですが、家を建てるお客さんが興味を寄せるところが、現在においては木の履歴といったあたりが、入りやすいし分かりやすいのではないかと思いますね。

かつて木材の需要が多かった昭和の後半に、製材所は専門化が進んで、パーツごとの分業になりました。柱などの角材、板材、造作と、大きくはその三つに分かれています。住宅一戸前に使う材料は、原木の調達も、製造工程も非常に煩雑でコストアップになりますしね。

これを私どもはもう一度、住宅一戸前分の材料は自社でフルカバーできるようにしました。パーツでは、木材製品市場に出して売ることになり、ユーザーの、家を建てるお客さまの顔はまったく見えないわけです。自社の特色を出すために、山林からの一括生産管理をし、それをどう販売するかと考えたとき、やはり木材市場ではなく、工務店さんやユーザーさんに直接売っていこうということになりました。

こうすることで、お客さまと触れ合う機会も圧倒的に増えましたね。クレームがダイレクトに入るなど、大変な部分もありますが、そのクレームの内容は、木材が冷暖房の加減でちょっと縮んだとか、割れたけど大丈夫かといったようなことで、そういった、木を使うことで起きてくる不安を解消するという点でも、丁寧な説明をしていくことが大切だということを、改めて実感しています。


(有)平井製材所が所属しているのは・・・

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「徳島の気候風土に適した家をつくりたい。」「体にやさしい木をふんだんに使って低価格な家をつくりたい。」

お客様のニーズをしっかりと受けとめて、これからも木の温もりに包まれた「本物の家」を提案してまいります。

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