現場監督:大垣正信さん

ハウスG

ハウスG住宅センター協同組合

大垣正信(おおがき・まさのぶ)さん

profile

美馬市穴吹町出身。前職を含め、38年間で木造住宅を中心に200棟の現場を担当している。座右の銘は“初志貫徹”。現場でも、お施主さんのご希望により調整はするものの、いわば大黒柱のような、一本芯の通った家づくりを心がけているそう。休日は、趣味の読書やゴルフでリフレッシュ。

 


木の家は、
“人”が作るものです。

※木の家づくり教室も開かれる施設で、お話を伺いました。

ハウスGこの会社で現場監督の仕事をするようになってから200棟くらい手がけましたが、そのほとんどが県産材を使っています。使うのは主に杉とヒノキですが、現場の大工さんたちも、外国産材とはまるで思い入れが違いますね。よその木は「よその子」、県産材は「ウチのコ」って感じでしょうか(笑) 。杉は材料自体が柔らかく、ちょっと物を当てても傷つくので、引き渡しまでの養生も気を遣います。現場でも、それだけ大事に扱われているということですね。杉に比べるとヒノキは固いですが、和室の柱など、見えるところに純粋に仕上げ材として使いますから、余計に気を遣いますね。木材を見せるということは、大工さんにとっては腕の見せ所です。腕が悪ければそういう仕事はできないわけで、てきめんに差が出るんです。

例えば鴨居の上に長押(なげし)をつける、その小さな仕口や取り合いが、0.5ミリ違っても仕事が野暮ったく見える。それがきっちり収まって、90度の差し金を当てたときにぴたっと合ったり、斜めに止めたところがきちっと仕上がっていると、家全体の印象が全然違います。大工さんの腕が光る「鉋がけ」でもその回数で全然肌触りが違ってくる。触ると、赤ちゃんの肌と大人の肌くらい違うんです。

木の家が良いといっても、木が良いだけではダメで、やっぱり大工さんにどれだけ思い入れがあるか、ですね。一本十数万円もするような、銘木に近いヒノキの柱と、安い材料とを比べたら、そもそもの素材が良ければ、手をかけたらなおのこと光る、そういう欲が大工さんにも出ますから。良い材料が来たときは、大工さんにも良い緊張感がありますね。

昔は「こうでなければ」というこだわりのある大工さんがたくさんいて、お施主さんが知り合いの大工さんに直接、全権委任でお任せしていました。だから入母屋(いりもや)の家を建てたら、どの家も見た目は一緒、「あの大工さんが建てた家だな」と一目で分かるような。外観には費用をかけるけど、中に入るとそうでもなかったり、いつも家族が集まるリビングが暗くて狭苦しくて、普段使わない客間が日当たりのいい場所で豪華に仕上がっている、そんなパターンもありましたね。いまは建設会社で請け負うから、金額の明細もわかりやすく、常に家族のいるところを、広く明るく風通し良く、と、昔とはずいぶん変わってきました。

良い家を作るための、お施主さんと大工さんの意見の交通整理が、私たち現場監督の役目でもあるんです。お施主さんの意向をまず聞く。誰でも自分の家には要望がありますが、昔の人はそういう要望を言わなかった、言えなかったんですよね。お施主さんの意向と、大工さんのこだわりを、うまく整理して一番いいカタチに持っていけたらと思います。

ハウスG良い材料、良い木を使えば、大工さんが腕を磨く機会も生まれます。今はプレカット工法といって、工場で加工されて組立てる住宅がかなり増えています。ところが、昔ながらの建て方で、長尺の梁・桁を使いたいということになると、機械ではできません。神社・仏閣なんかがそうですね。でも、実は今はそういう要望が減りつつあります。

そこで昔のようにお施主さんが、大黒柱や欄間の採用、さらに和室一部屋増やす家づくりをして頂くと、大工さんの技術の向上に貢献してくれていることになります。和室も、洋間にポンと畳を置くようなのでなく、ちゃんと内障子を入れて、小さくてもお床を作ってね。こうすればお正月飾りもできたりして、いろいろ使い方が広がります。

「別のハウスメーカーに家づくりを依頼したのだが、大黒柱をつけたいと言ったらできないと言われた。お宅に大黒柱だけ発注することはできるのか」という問い合わせがきたことがありました。私たちには「できない」と言われたということが衝撃でした。ほかにも、希望したにもかかわらず神棚をつけてもらえなかった、というお施主さんの話もききました。安いものでよければホームセンターにもあるし、もっと本格的に作りたければ材料も選んで、大きさも好きなようにできます。でもそういうことを提案してくれる業者かどうか、家づくりが初めてというお施主さんには判断できませんよね。

このウッドハウスでは、お施主さんのための「住まいづくり教室」を開催しています。どこの業者に依頼するにしても、家づくりがどういう手順で進むのか、また、最低限は知って欲しい基礎的知識を学びます。例えば、カリキュラムの構造では、阪神大震災以降、木造は弱いというイメージが広がってしまいましたが、木造の三階建てでも、阪神大震災の震度に耐えられるという具体的な話もします。 家づくりで一番重要な間取りを平面図という具体的成果物を創って教室は終ります。私達の願いは家づくりに対する自分なりの「ものさし」を作って頂く事にあります。もう一つ大事な事があります。それは家づくりで中心的役割を担う大工さんが大切だという話です。機械に頼れる技術ももちろん大事ですが、生き方が反映された大工さんの技、仕事に対する熱意や責任感を持った大工さんの技こそがいい家を作ってくれるのです、と。

ハウスGお施主さんは設計段階で何回も打ち合わせを重ねてエネルギーを傾けます。そして、図面が完成したら終わりのように思われるかも知れませんが、本当はそこからがスタートなんです。図面に命を吹き込んで、実際の家にするのは大工さんですから。そういう大事な工程で、どれだけの思い入れを持った人に仕事をしてもらうかが大事ですよね。技術が高いにこしたことはないけど、それだけで良いものができるかというと、そうではない。図面の理解力と監督の考えが理解できて、お互いにカバーし合える心が必要です。そして、その裏にあるお施主さんの思いをくみ取れるか。丸いものと丸いものをつなぐいだ時にできる隙間を埋められるような気配りがないと、良いものはできません。

木の家は、プレハブではありません。人が作るものです。やっぱり、「人」は大切な要素ですね。


大垣さんが所属しているのは・・・

ハウスG住宅センター

ハウスG住宅センター(協)

木材生産から、製品販売、建材・住設販売、住宅・宅地販売まで、実績のある各社が協力しあう一貫システムです。

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