現場監督:沼尻静雄さん

那賀川すぎ共販

(株)つくばホーム 代表取締役

沼尻静雄(ぬまじり・しずお)さん

profile

昭和25年生まれ。数件の工務店を経る中で、官公庁の仕事や現場監督も経験し、体育館や学校の校舎なども手がけた。15年前につくばホームに入社、平成18年に社長就任。現在はつくば市で「板倉の家」を取り扱う。趣味はゴルフ、腕前はシングル。


進化しながら、当たり前に良い住宅を建てたいですね。

※木の香りがさわやかな「つくばホーム」(茨城県つくば市)事務所で伺いました。

那賀川すぎ共販・施工中の家那賀川すぎ共販さんとは、「板倉の家」を通じて、平成14年からのお付き合いです。うちでも以前から同じようなつくりの住宅を作ってたんですが、業界紙でその記事を見たとき、集成材を使わずに全部無垢材で建てる、しかも全部国産材だということに興味を持ち、連絡させてもらいました。つくば市から徳島まで伺って実際に品物を見せていただいたんですが、赤身の杉材を主に使ってて、品物が全然違う、質が高いというのは一目で分かって、納得しました。
つくば市は、研究学園都市ということもあって博士とか研究者が多い土地柄で、うちのお客さまの中には森林総研の方など木の専門家の方もおられたり、工務店や大きな建設会社の社員さんもおられます。「板倉の家」というのは全部化粧、全てあらわしで木が見える建物ですから、ごまかしが効かないわけですが、そういう、木のこと、建築のことを良くご存知の方に選んでいただけているというのは嬉しいですね。ホントに良く勉強されてる方が多いんですが、研究者の方だから、全然レベルが違う。だから私たちも知ったかぶりしないで、逆に教えてもらっています。自分の家を建ててからも、毎週のように見学会に来られて、研究を続けている方もおられますね。

板倉の家は、従来の家と同じような間取りであっても、建て方が全然違うんです。従来の家は柱と梁をつなぐのにも、上からボルトでポンポンと打って、あとは隠してしまえばいいけれど、板倉の家は基本的に化粧のつくりだから、ボルトも見えないところに打たなきゃならない。壁も、上から壁紙を貼れば全部隠れますが、柱と柱の間に板を落としこむ方法ですから、順番を間違えると、バラして最初から作り直さなきゃならないような、えらいことになってしまう。だから最初の頃は徳島から大工さんに来ていただいて、図面を読んで順番を考えるということを、手伝ってもらいながら、自分たちで覚えていきました。
工期も、うちのやり方は建て初めから約半年と、平均的なハウスメーカーさんの倍はかかります。建売の家の現場なんか見ると、基礎のコンクリートを打ったら翌日には枠をバラして、三日目にはもう土台を引いてますが、うちはコンクリートをちゃんと養生して、できれば4週間は置いて、それから土台を引いて建てていく‥‥というやり方ですから、それくらいはかかるんです。でも、お施主さんはその間も、毎日のように見に来られたりします。お客さまは板倉の家のそういう部分も分かっている方たちですから、満足度がすごく高い。集成材の住宅のレベルとはまるで違いますね。「友だちの家は見てたけど、いざ自分の家を建てたら120%満足です」なんておっしゃいます。

那賀川すぎ共販いま、茨城というところは特にローコスト住宅が主流になってしまって、粗悪なもの、20年もするとガタガタになるだろうと思えるような住宅が多いんです。坪単価が安いと言っても、その材料と工法なら、そりゃあその値段でできるだろうというような代物で、下手したら4、5人の大工でわさわさ揺らした壊れちゃうんじゃないかというような‥‥。断熱にしてもひどいことやっている。そんな“安かろう悪かろう”という建物を、うちはやらないし、やろうと思ってもいない。そういう考えのところにちょうど板倉の家がはまって、結果的に評価していただいて、増えていますね。うちが手がける住宅の80~90%は板倉ですが、板倉の板を構造的にカウントしないで、外貼りで断熱したり、面材で耐力壁を作ったりと、板倉のいいところと2×4のいいところを組み合わせてやっています。

木の家は冬は寒いと思っている方もいますが、板倉のいいところと断熱を組み合わせると、エアコン1台だけで50坪・4層構造(床下+二階建+ロフト)の家もまかなえるんです。この地域ではQ値(熱損失係数。数値が小さいほど断熱・機密性が高い)が4以下なら優良な住宅とされていますが、うちの建築はだいたい2.3以下。先日建てた物件で、少し断熱材を厚くしたら1.8になりました。東北地方でも通用するような建物です。
そういう省エネの建物を、いまは国でも奨励していますが、本当は当たり前の仕事をしていたら、それくらいの数字は当たり前に出るはずなんです。それが、「省エネ住宅」「長期優良住宅」というような名前をつけないと、逆になかなかそうならないというのが、悲しいかな、いまの現状なんですね。でも、板倉の家は基本的に、昔から「省エネ住宅」なわけです。
また、木の家の室内環境は、新建材を使った家とはまるっきり違います。化学物質のにおいがせず、杉のスカッとする香りがする。人は自分が住んでいる家で、夜から翌朝まで知らない間に空気を吸ってるわけですから、実は本当に大事なことなんですよね。空気を入れ替えなくても、密閉した状態でも十分に人間の体に良い香りがするというのが、木材の一番の特性なんです。

那賀川すぎ共販徳島の杉は、材が良くて、その管理も良い。板を作る精度がまるで違いますね。この地域にも板を作ってるところはたくさんありますが、板倉の構造材に使う板は、割れ、反り、狂いが出たら大変なことになる。ひとつの壁で20枚近くの板を使いますから、一枚が1mm狂うと壁全体で2cm狂っちゃうわけで、そうするともう家になりません。自然の板ですから、まったく狂わないということはないんですが、それを熟知して、狂わないようにするにはどうするか、ということを分かってらっしゃるんで、私らも安心して取り組めるわけです。やはり板を何世紀にもわたって作ってる、その中で培われた目に見えない技術が、徳島はすごいですね。

板倉の家はこれからも伸びていく建物ですから、どうしたら進化していくか、それは常に考えています。実際、初期は普通の二階建だけだったけど、4層構造にして床下やロフトをつけたり、屋根勾配を強くしてロフトも使えるように‥‥と変わってきました。これからもいろんなものを見せていただいたり勉強したりして、いいものを提供していきたいですね。
私も以前の職場では大きな建物や体育館などを作った経験もありますが、そういう建物は不特定多数の人が対象だし、設備は設備、躯体は躯体、仕上げは仕上げと、部分を作る仕事になってしまって、面白味がないんです。住宅は、基本的に個人のお客さまがいて、土地の条件がどうだとかいうようなところから関わって、この方が住まわれて「いい家だ」と言ってもらえる‥‥そういう流れの中で、全部自分でやれるのが一番いいですね。お付き合いも長くなりますし。

うちは小さな工務店ですが、昔ながらのしっかりしたものを受け継いで、昔のいいところと今のいいところを組み合わせながら、進化した住宅を作っていきたいというのが基本的な考え方です。20年や30年でダメになってしまうのではなく、50年経っても躯体や構造体は痛まない、というのが、当たり前の、普通の建物だと思っています。お客さまからローコストを求められるからと言って、金儲けのために粗悪なものを提供するくらいなら、建築の仕事なんかやめたほうがいい。私もこの先、百年もは生きられないですけど、建てた家が残っていったとき、「良い家を建てたもんだなあ、あの頃は」って言われたいものですね。


沼尻さんが提携しているのは・・・

那賀川すぎ共販(協)

那賀川すぎ共販(協)

私たちは天然の無垢板建材「セーフティボード」や「板倉造の住宅」などを通して、人と自然環境にやさしい快適な家づくりをご提案しています。

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