島津臣志
住まいの中に森をつくる
たくさんの小さな木々は、多くの人たちの手によって、
一枚の大きな壁になる。
東西両隣の建物が、境界線近くに建っているので、採光を確保するために、玄関から一直線に延びる二層分の高さの廊下の上にトップライトを設けています。
空から差し込む光は、吹抜けを介して1階まで届きます。明るく照らされた廊下に向かって、居室が並ぶプランになっています。
季節や日々の時間によって表情が変わる壁
間口が狭く、極端に奥に長い、うなぎの寝床と呼ばれる敷地に建つ、若い夫婦とふたりの子供のための住宅です。廊下の一面の壁には、徳島県産材の杉を中心としたいろいろな種類の木が張られています。樹種が違うだけでなく、巾、長さ、厚さも様々のものを組み合わせてできています。壁に凹凸ができるので、トップライトからの光が壁に当たると影ができ、季節や日々の時間によって表情が変わります。新建材では出すことのできない表情を持った壁です。また壁の中には建具や照明が仕込まれていて、木々の隙間から風が通り抜け、光が漏れます。多くの職人の技術と知恵に支えられて造りあげられた壁のもとで、家族の生活が営まれます。
島津臣志
1979年生まれ。島津臣志建築設計事務所代表。
2002年から建築設計事務所蔵で十数件の古民家再生に携わる。2010年から(有)内野設計で住宅、店舗、歯科医院、寺院建築などに携わる。2013年、島津臣志建築設計事務所を設立。
趣味
サッカー、フットサル、ラフティング
設計で大切にしていること
そこに住む人たちが心地良く暮らせることはもちろん、周囲の人たちの暮らしと、ゆるく交わりあえるような建築をつくりたいと考えています。
これまでの設計
南佐古の家、南沖洲の家etc.